サロン居抜き物件の造作譲渡費 ゼロ円交渉が可能な理由と見方
造作譲渡費300万円の見積りをゼロ円で通した実例不動産屋から見た造作の適正価格と、前テナントが残した設備の本当の価値居抜きサロン物件で損しない交渉術
この記事の内容
「造作譲渡費300万円です」
この一言を真に受けて300万円払うサロンオーナーが今日もどこかにいる私から言わせればその300万円はほぼゼロ円でいい
私は店舗物件の仲介を1,000件以上やってきたその中で「居抜きの造作譲渡費」を額面通り払った個人オーナーをたくさん見てきたそして大手チェーンがそれを平気でゼロ円にひっくり返す場面も同じだけ見てきた違いは1つ造作の正体を知っているかどうかだけ
造作譲渡費の正体 — 不動産屋から見れば価値ゼロの理由
倶楽部会員さんの実際の成果
倶楽部のチャットを覗きながら交渉したらうまくいきました。聞いたりしたわけでもないのに結果が出た(会員報告より)
複数社申込みの中でフリーレント1ヶ月半取れた(会員報告より)
わずかな金額でも積み重ねると固定費が大きく変わると実感した(会員報告より)
造作譲渡費の見積り明細を見たことがあるだろうか「シャンプー台3台 180万円」「受付カウンター 50万円」「エステベッド2台 70万円」こういう書き方が並んでいる
この金額は前のテナントが「買った時の金額」に近い数字で書かれている買ったときの値段をそのまま請求してくるこれは中古車で言えば「新車価格でそのまま売ります」と言っているのと同じ話
不動産屋の感覚では居抜きの造作は「固定資産として減価償却済みの残骸」という扱い会計上も税務上も、サロン設備は耐用年数5〜8年で償却される5年使ったシャンプー台の簿価はほぼゼロ税務署の基準ですらゼロ評価なのに、個人オーナーに対しては「180万円です」と請求してくる
なぜ造作譲渡費はゼロ円交渉が可能なのか
前テナントが物件から撤退するとき、本来は原状回復義務がある内装・設備・配管・床・壁・天井を入居前の状態に戻してオーナーに返すこの原状回復工事は10坪サロンで100〜200万円かかる
ここに「居抜きで引き継ぎたい人」が現れるとどうなるか前テナントは原状回復費用100〜200万円を払わずに済む普通に考えれば「原状回復しなくていいなら御の字」の状態それなのに造作譲渡費まで請求するのは二重取りに近い
つまり造作譲渡費はゼロ円にしても前テナントは損をしないむしろ解体費が浮いた分だけ得をしているこれが「ゼロ円交渉が通る構造」の正体
ゼロ円交渉の実例3つ — どうやって300万円をゼロにしたか
実例1: 都内10坪サロン 造作譲渡費250万円 → ゼロ円
都内駅徒歩5分の10坪サロン物件前テナントはヘッドスパ店で、シャンプー台2台・受付カウンター・待合ソファ・照明・BGM機器を残したまま撤退する予定造作譲渡費250万円の提示
- 交渉前提: 前テナントの原状回復費用は150万円見積り
- 提示理由: 「原状回復150万円分を前テナントに払っていただく代わりに、造作は無償譲渡という形にできませんか」
- 結果: 造作譲渡費ゼロ円、前テナントは原状回復費をオーナーに対して支払い済み扱い、新規テナントは造作そのまま使える
ポイントは「原状回復費を盾にする」こと前テナントは原状回復しなくて済むなら100万円以上の経費が浮くその浮いた金額の範囲内なら造作譲渡費をゼロにしても損はしないこの計算をこちらから提示するだけで交渉は一気に動く
実例2: 駅近エステ15坪 造作譲渡費380万円 → 50万円
駅近15坪のエステサロン跡地エステベッド4台・パーテーション・受付・待合・洗顔ブース・スチーマー・LED機器まで残すという提示で造作譲渡費380万円
- 交渉前提: 設備の購入時期は6年前耐用年数5〜8年を超えているため簿価上はほぼゼロ
- 提示理由: 「耐用年数を超えた設備の譲渡費として380万円は相場と合わないので、簿価ベースで50万円でお願いしたい」
- 結果: 造作譲渡費50万円で決着330万円の削減
税務上の耐用年数を根拠にした交渉「相手の会計常識に合わせて話す」だけで330万円の削減が通った感情ではなく数字で攻めるから通る
実例3: 前テナント破産の居抜き 造作譲渡費200万円 → ゼロ円
前テナントが破産した居抜き物件のケース造作譲渡費200万円の提示だったが、破産している以上は債権者はオーナー(大家)側前テナントは原状回復もできずに夜逃げ状態
- 交渉前提: 前テナントは破産・原状回復不能オーナーは次のテナントを早く入れたい
- 提示理由: 「オーナー様が引き取られた残置物の無償譲渡という形でご契約を進めたい所有権の整理は契約書内で明記します」
- 結果: 造作譲渡費ゼロ円、所有権は新規テナントに完全移転、契約書に「残置物の所有権・処分権限は新規テナントに帰属」と明記
前テナント破産の場合は交渉余地が最も大きいオーナーは「早く次に貸したい」「残置物の処分費用も払いたくない」という立場ここでゼロ円交渉を持ちかけると高確率で通る
造作の中身を評価する — シャンプー台・エステベッド・受付家具の本当の値段
造作譲渡費の見積り明細を出してもらったら、1つずつ適正価格を確認する「シャンプー台3台 180万円」と書かれても、中古市場の相場を知らないと言い値で契約することになる
| 設備 | 新品価格 | 中古相場(5年使用) | 簿価(5年後) | 交渉目安 |
|---|---|---|---|---|
| シャンプー台 | 50〜80万円 | 5〜15万円 | ほぼゼロ | 1台5万円以下 |
| エステベッド | 15〜40万円 | 3〜8万円 | ほぼゼロ | 1台3万円以下 |
| 受付カウンター | 20〜50万円 | ほぼ売却不可 | ゼロ | ゼロ円交渉 |
| 待合ソファ | 10〜30万円 | ほぼ売却不可 | ゼロ | ゼロ円交渉 |
| 照明・BGM機器 | 5〜15万円 | ほぼ売却不可 | ゼロ | ゼロ円交渉 |
| スチーマー・LED美顔器 | 30〜80万円 | 5〜20万円 | ほぼゼロ | 1台3万円以下 |
| パーテーション | 5〜20万円 | ほぼ売却不可 | ゼロ | ゼロ円交渉 |
この表を見てもらえばわかるが、造作の中で「中古市場で値段がつく」のはシャンプー台・エステベッド・美容機器の一部だけそれ以外の家具・照明・内装はほぼゼロ評価が正しい造作譲渡費の見積りで「パーテーション50万円」「待合ソファ30万円」と書かれていたら、それは全部言い値と思っていい
契約書の書き方 — 所有権・原状回復の責任を明確にする
所有権の明記 — 残置物か譲渡物か
造作譲渡の契約書で最も重要なのが「所有権は誰にあるか」を明確にすることここを曖昧にすると退去時にトラブルになる
パターンは2つ
- 残置物扱い: 所有権はオーナー(大家)にある新規テナントは「使わせてもらっているだけ」退去時は造作をそのまま残すことが条件
- 譲渡物扱い: 所有権は新規テナントに完全移転退去時は原状回復義務が発生する(造作の撤去費用を負担する)
ゼロ円交渉を通すなら「残置物扱い」が圧倒的に有利所有権がオーナー側にあるため、新規テナントは退去時に造作を撤去する義務がないつまり退去時の原状回復費100〜200万円が不要になる
退去時の原状回復範囲 — ここで失敗する人が多い
居抜きで入居した場合、退去時に「どこまで戻すか」が曖昧だと揉める契約書に以下を明記する
- 居抜き状態の写真を契約時に撮影し、契約書別紙として添付する
- 残置物リストを作成し、どの設備がどの扱いかを一覧化する
- 退去時の原状回復範囲を「居抜き時の状態に戻す」もしくは「スケルトン戻し」のどちらかを明記する
- 新規テナントが追加した設備の所有権と撤去義務を明記する
- 経年劣化による故障の修繕責任をどちらが持つかを明記する
この5つを契約書に入れるだけで退去時のトラブルは9割消える私が見てきた「造作トラブル」の大半は契約時の書類が曖昧だったことが原因
譲渡費ゼロでも注意すべき5点 — タダより怖いものはない
造作譲渡費をゼロにできたから安心、とはいかないゼロ円で引き継いだ造作には別のリスクが隠れている必ず確認すべき5点
注意1: 設備の故障・経年劣化の責任はどちらか
シャンプー台の給湯器が半年で故障した修理費20万円この負担は新規テナント?前テナント?オーナー?契約書に「譲受後の故障は新規テナント負担」と書かれているケースが多い
対策としては契約前に動作確認を必ずやること給湯器・排水・電気系統・LED機器・スチーマー・BGM・照明まで全部通電して動かす故障しているものは引き渡し前に修繕するか、撤去してもらうか、金額から引くかを交渉する
注意2: 給排水・電気容量は自分の業態に合うか
前テナントがヘッドスパ店だった場合、シャンプー台があるから給湯器は大きめしかしエステサロンに転用する場合、必要な給湯量が違う逆にネイルサロンなら給湯器はほぼ不要で、空いたスペースが無駄になる
電気容量も同じ前テナントがLED機器・スチーマー複数台を使っていたなら電気容量が大きいしかしハンドエステ中心の業態だと過剰過剰な電気容量は基本料金が高くなる月1万円の差でも年間12万円、10年で120万円の差
注意3: 排気・換気・消防設備は自分の業態で使えるか
エステサロンで「スチーマー使用あり」の物件を引き継いだ場合、換気扇の容量や湿度対策が前テナントの業態に合わせて設置されているネイルサロンに転用すると有機溶剤の換気基準が別途必要になる
消防設備(スプリンクラー・火災報知器・非常灯)も業態によっては追加工事が必要造作をそのまま使えると思っていたら、業態変更のタイミングで数十万円の追加工事が発生するケースがある
注意4: 前テナントの負の遺産 — クレーム客・近隣トラブル
居抜きで入居すると前テナントの客層がそのまま流れてくることがあるこれはプラスにもマイナスにもなる前テナントが低価格サロンだった場合、低価格を期待した客層が入ってきて「なんで値上げしたんですか」とクレームになる
近隣トラブルも引き継ぐ前テナントと近所の飲食店でトラブルがあった場合、ビルのオーナーから「騒音に気をつけてください」と釘を刺されるケースがある内見時に近隣の飲食店・美容室にさりげなく聞くと前テナントの評判がわかる
注意5: 内装の「好み問題」
造作がゼロ円で引き継げても、内装デザインが自分の業態コンセプトと合わないケースがある前テナントがピンクの壁紙・女性向けの華やかな照明を使っていて、自分は落ち着いたヘッドスパを開業したい場合、結局全部作り直すことになる
壁紙貼り替え・照明交換・床張り替えで50〜100万円この金額が発生するなら、居抜きのメリットは「解体費用が浮く」分だけに縮小するそれでも100〜200万円のメリットがあるので居抜きを選ぶ価値はあるが、コンセプトとの整合性は必ず確認する
内見時に確認する7項目
造作譲渡費の交渉に入る前に、必ず内見時にチェックする項目
- 設備リストと実物の照合 — 見積りに書かれている設備が実際に全部あるか
- 動作確認 — 給湯器・シャンプー台・LED機器・スチーマーを実際に動かす
- 配管・排水の状態 — 目視できる範囲で水漏れ・錆・汚れを確認
- 電気容量 — 分電盤を見てアンペア数を確認自分の業態で足りるか
- 換気・排気 — 換気扇の容量・排気口の位置・窓の有無
- 壁・床・天井の状態 — 傷・汚れ・剥がれ・雨漏り跡
- 前テナントの撤退理由 — 仲介会社経由で必ず聞く売上不振・オーナーとの揉め事・近隣トラブル
この7項目を確認したうえで、問題がある箇所は全て交渉材料にする「給湯器が古い」「換気扇の音が大きい」「配管に錆が見える」これらは全部「だから譲渡費をゼロに」の根拠になる
交渉の切り出し方 — 仲介会社への具体的な伝え方
造作譲渡費の交渉で「感情的に値切る」のは最悪論理的に切り出す方法を決めておく
切り出し方1: 原状回復費を盾にする
「前テナント様の原状回復費用は見積りでどれくらいでしょうかもしスケルトン戻しの場合は100万円以上かかると思いますので、その分を考慮して造作譲渡費の減額をご相談できればと思います」
切り出し方2: 簿価ベースで攻める
「設備の耐用年数を考えると、簿価ベースではゼロに近い評価になります新品価格で請求されるのは会計常識と合わないので、中古市場価格での譲渡費再計算をお願いしたいです」
切り出し方3: 業態転用コストを提示する
「居抜きで入居しますが、業態がエステからヘッドスパに変わるため、内装変更・設備追加で○○万円が発生しますこの追加費用を考慮いただき、譲渡費の減額を希望します」
ゼロ円交渉を成功させるための段取りタイムライン
- 内見1回目: 現状確認・設備リスト受領・動作確認
- 見積り精査: 新品価格・中古相場・簿価を計算して比較表作成
- 内見2回目: 問題箇所の再確認・写真撮影・仲介会社に質問リスト提出
- 交渉メール送付: 原状回復費比較・簿価ベース・業態転用コストを根拠に減額要望
- 申込書提出: 希望造作譲渡費を明記した申込書を提出(即決の意思を示す)
- 契約書作成: 残置物扱い・所有権・退去時原状回復範囲を明記
- 契約締結: 居抜き状態写真を別紙添付
この流れで進めると、造作譲渡費の減額は高確率で通る大切なのは「内見 → 申込 → 契約」の前に交渉を済ませること契約直前や契約後の追加交渉は信頼を失うだけ
よくある質問
Q. 造作譲渡費をゼロにしたら「失礼」ではないですか?
プロの世界ではゼロ円交渉は普通にある大手チェーンは100%やっている失礼と言われるのは「無茶な要求」や「礼を欠いた態度」論理的に根拠を示して減額を依頼するのは全く失礼ではない
Q. 仲介会社が「前テナントが納得しない」と言います
前テナントの立場で考えれば「原状回復費を払わずに済む」ほうが得仲介会社が消極的な場合は「原状回復した場合の見積りを前テナント様から取っていただけますか」と逆提案する原状回復費と譲渡費を天秤にかけて話を進める
Q. ゼロ円で引き継いだ造作を退去時に撤去するとどうなりますか?
契約書で「残置物扱い・所有権はオーナー」となっていれば撤去義務はないそのまま次のテナントに引き継げる「譲渡物扱い」にしてしまうと退去時に撤去義務が発生する必ず残置物扱いで契約を結ぶ
Q. 造作譲渡費50万円の見積りはゼロ交渉できますか?
金額が小さい場合は「前テナントのメンツ」もあるので完全ゼロは難しいケースがあるその場合は仲介手数料分を目安に落とし所を作る(例:50万円 → 20万円など)金額が大きいほどゼロ交渉は通りやすい
Q. 個人事業主でも譲渡費交渉はできますか?
できる交渉に法人・個人は関係ないむしろ個人事業主のほうが「小さな経費削減が死活問題」なので、しっかり交渉すべき大手チェーンだけが交渉できる世界ではない
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